【第一章】『2』         

部屋の中での会話

「久しぶりだな。俺から必死に逃げるな龍、お前って奴は」
「当たり前だろ!俺はお前が大嫌いなんだからな!!」
「『大嫌い』なんていってられるのは今のうちだ。そういえばお前体調は崩してないだろうな?」
「俺は見ての通り元気だ・・」
「じゃあさっき言ってた『体調が悪い』はどう説明する?」
龍はその返事が出来なかった・・あからさまに嘘をついたと言いたくなかった為だろう。
「無理だけはするなよ。俺はSAKURAに何かあったらお前を許さないからな」
「許さない?稜平、誰に向かっていってるんだ?SAKURAは自分自身で勝手に行動する、
それはお前にもわからない、違うか?」
「龍、少なくともお前にはわかるだろ?SAKURAの行動が。俺を甘く見るな、お前にわからなかったらおかしいからな」
「いや、本当にわからないんだ・・」
そう言いながら龍は部屋を後にした。

「SAKURA、お前はいつの間に自分の意思で動くことを覚えた・・?」

龍へ
危険はせまりつつある。
あなたは自分自身の身を大切に・・
桜が散るまで私が生きていることを祈って
稜平を苦しませるようなことだけはしないで・・
私の『大切な人』だから・・

              SAKURA
SAKURAからの手紙にはこう書かれていた。
「ったく、SAKURAは気を使って・・自分自身をもっと大切にしろってんだ・・」
「してるわよ、それなりに・・あなたを悲しませない為に自分で行動することを覚えたのよ」
「久しぶりだな、俺の前でSAKURAの姿になるのは・・でもバカだろ。体弱いくせに無理はするな、俺が疲れる」
「『大切な人』のことを考えて行動する、何がいけないの?」
「あと一時間であいつが起きないといけない時間になる。そろそろ部屋に戻って寝ろ。あいつが怪しまないようにな」
「そんなへまはしないわ。私はもう子供じゃないのよ」

ジリリリリリリ・・・
朝7時を告げる目覚ましの音が部屋に響く

今日は雨、そのせいか気分もすぐれない。
稜平は早くから起きていたらしく、すでに学校へ行く準備を終えていた。
龍は7時半を過ぎても起きない。
「いい加減起きないと、お前の大好きなメシが食えなくなるぞ」
俺が起こそうとしたのだが、稜平が咲きに龍に声をかけた。
「雨の日は体がダルイんだよ。知ってるだろ・・俺は後でいくから慶と一緒に先に行っててくれよ」
本当にダルそうだ。まぁ体調が悪いなら仕方ない。
「あんまり無理はするなよ。体壊すだけだし」
俺は龍にそう告げ食堂へと向かった。

バタン・・
戸が閉まるのを確認した後龍はつぶやいた
「SAKURAお願いだから泣くな・・SAKURAが泣くと俺はつらくて仕方ないんだ・・」
急に戸が開く音がする、俺は顔を上げ誰かを確認する。
「SAKURAが泣いているのか?泣けば自分の命さえも危ないというのに・・」
「昴さん!?どうしてここに・・?アメリカに行ったんじゃ!?」
あまりにも驚いてしまった為俺は少し動揺しながら昴さんの返答を待つ。
「SAKURAの事が気になったからアメリカ行きは取りやめた。龍は体調が悪そうだけど大丈夫か?
いや、大丈夫じゃないな、顔色が悪い・・」
お前はかわいそうだな・・と言いたそうな昴さんの顔。
『運命を背負って生まれた子』小さい時からそう言われてきた・・可愛そうなどとは思わないで欲しい。
それを誰より一番わかっていてくれる昴さんは全体に俺に『かわいそう』とは言わない。
「大丈夫ですよ、学校には行きますから。心配してくださってありがとうございます。」
「本当にしんどかったら俺の所にこい、いいな?」
「昴さんのところなら喜んで行きますよ」
すると昴さんは軽く笑いながら静かに部屋を出て行った。
さぁてと昴さんには学校へ行くと言ったはいいが、やっぱり体がだるい。これ以上だるくなるのは嫌だし、
今日は学校休もう。
俺は再びベッドに横になり、いつの間にか熟睡したらしくその後の記憶がなかった。

「よぉ、待たせたな」
俺たちが部屋を出てから30分が経った頃龍は来た。
ニーッコリ笑いながら・・そのときの龍はとても顔色が良かった。調子がよくなったのだと安心していると、稜平が
不思議そうな顔をしていた。
「龍、少しこっちにこい」
稜平が龍を呼ぶ。
「嫌だって言ったらどうする?」
苦笑いをしながら龍は稜平の呼ぶ声に答える。すると稜平は無理やり龍を連れて食堂から出て行った。
「SAKURAか?また勝手に出てきて龍の体にもしものことがあったらお前は死ぬんだぞ!わかってるのか!!」
また私を説教するの?と言わんばかりに
「私はいつになったら『自由』を手に入れるの?この人の体にずっといないといけないの?私にだって自分でいられる時間が欲しい・・ 欲しいのよ」
今にも泣きそうな声でSAKURAと呼ばれる女は稜平によりかかった。
「自分でいる時間の為にお前は自分の命を削っているんだぞ。泣いて、雨を降らして、龍の体調を崩して・・俺はお前がいなくなるなんて 考えたくない」
お前を失うこと、それほど悲しいことはない・・といわんばかりの言葉でSAKURAを落ち着かせた。
「私は何よりずっと稜平のそばにいたい。心の底からそう思うのよ。時間を頂戴・・頂戴、一分一秒でもいいからあなたの そばにいる時間を・・」
SAKURAは泣いた。廊下に響く大きな声で・・
外の雨はさらに強く降っていた。
【あとがき】
色々痛い・・昔に考えた話ってこんなに痛いものなのか・・?
とりあえずさくさく続きUPしていこうと思います〜
適当満載な話でごめんなさい。
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